Blue Blue Sky
―――あの人は、大きな空だ。
ずっと闇に生きる事を家業にしてきて、きっとそれはずっと変わらないのだろうと何となく漠然と思い込んでいた。そこに降って沸いた彼の人の代行任務。まさに、青天の霹靂とはこの事だろう。
どうやら木の葉の里創設以来初であるらしい、五代目火影は女性でありながら随分と豪気で思い切った判断をするお方のようだ。
かくして、一時的とは言えボクは暗部を抜けた。
久し振りに歩く光の中は少しばかり眩しくて、何となくの違和感。
正規部隊として、こう表立って任務に出るのは随分と久し振りの事で。また、当面は里で一般人と同じように生活しなければならない訳で。
久しく忘れていた習慣に戸惑い、何か助言を得れれば、と思って彼の人のところへ赴いた。
そこで、出会った。
「……先輩?」
過去同じ部隊に籍を置き、共に死地を潜り抜け、彼は先に部隊を退いたがそれでもやはりこの人以上の忍びはいないのではないかと、今でも思う。その後任に選ばれた自分を、少しばかり誇ったのも事実。
「――ヤマトか。
丁度、お前の話をしてたところだよ」
久し振りの再会。
でも、そこに居たのは彼の人だけではなく、見知らぬ男が立っていた。
木の葉の額当てをし、ベストを着ていることから同業者である事は一目瞭然。でも、少しばかり驚いた。
……先輩が、他人を自分の領域に踏み込ませているなんて。
自分の知るこの人からは、想像できなかった。
「ほら、コイツですよ。今話した俺の代わりに暫くナルト達の面倒を見てくれる奴。一応、俺の後輩にあたりまして名前は――ヤマトって言います。
――で、この人はうみのイルカさん。今度お前が俺の後任で入る班の生徒達を受け持ってたアカデミーの先生だよ」
「はじめまして、うみのです」
「…はじめまして」
ペコリとお辞儀をされ、反射的にコチラも軽い会釈で返す。
男――うみのイルカという名前らしい――の頭上で結ばれた、黒い尻尾が柔く揺れた。
「―――じゃあ、俺アカデミーに戻りますね。カカシさん」
「え?もうですか…?」
「まだ少し仕事残ってるんですよ、終わったらまた来ますから。――ね?」
「う〜〜、分かりましたぁ〜…」
明らかに不服そうなその声に、少しだけ困ったような顔をしながら。
それでも、うみのイルカは部屋を去っていった。
ボクへの会釈も忘れない。そしてボクは、それを黙って見送った。
その視界の片隅に伺えた先輩の表情があまりに穏やかで、それに驚いて咄嗟に反応出来なかったのだ。
この人が、他人に対してこんな表情をするなんて。自分の知る彼からは到底想像出来るものではなくて、でも同時にその瞬間、悟ってしまった……。
-+-+-+-+-+-+-
「……ヤマト、さん?」
だいぶ、表の世界にも慣れてきた頃。それは偶然。
「うみの…イルカ先生?」
一度みたら忘れる事などないだろう、鼻筋を真一文字に走る傷。そして、あの時同様今も柔く揺れる黒い尻尾。しかし、彼はそれ以上の印象をボクに刻み付けていった。忘れるはずがない。
「偶然ですね。今、お帰りですか?」
「えぇ、まぁ…」
あの日、
彼が姿を消した後、
『――ヤマト』
『…はい』
『あの人に、手ェ出すなよ』
『何ですか、唐突ですね』
『いや、分からないんならいい。でも忘れんな』
『……分かりました』
真意など、言葉にされなくても分かる。
あからさまな牽制。
正直な話、何故あの人がそんなにもこの人に拘るのかが分からない。
でも、
「イルカせんせぇ〜〜vv
何してるんですか、偶然ですねぇ〜〜vv」
「ちょっ、コラ!カカシさん、ココは公道ですっ!抱きつくなっ!!」
突如現れた、偶然を装ってその実ずっとコチラの様子を伺っていたソレ。
昔の姿を知るが故だろうか、その変わりようには言葉を失うほかないのだが、それでも、その表情が大変穏やかで幸せそうで、少しだけ……
―――羨ましく思う。
彼の人より先にボクが貴方に会っていたら、そこにいたのはボクだっただろうか……?
無意味な想像。
そして、そのポジションを今から奪う事などできるはずも無く。
ボクはただ、
地に根の生やした樹木がひたすら空を仰ぐように、
彼らを、羨望にほんの少しの嫉妬を混ぜ込んで見つめるんだ……。
うん、もう完全に勢い☆
私のヤマト像、今のところこんな感じで。
カカシはヤマトが自分と同じ境遇に居たからこそ
イルカ先生に惹かれないわけが無いと思ってたり
取りあえず、2部読み返して少しヤマト像を
固めようかな…?
一本書いたら満足したっぽいけど〜
余談ですが、
このカカイルすでにくっついておるのでつよ。
20110310