あまい あまい あまい…?
丁度先月の今日、貰ったソレはとても甘くて甘くて。
でも、甘いだけでは済まされず――――
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「……」
手を伸ばせば、簡単に手に届くソレ。
何の飾りッけも無い小箱、中身は既に空だ。
貰って暫くはその真意を考えたけど、結局明確な答えは出なかった。
脳裏を過ぎる可能性は、あまりにも自分に都合よく出来すぎている気がして……
「ジイシキカジョーでしょ…///」
カカシはポツリと呟いて枕へと頭を埋めた。
勿論、箱は既に定位置と化したウッキー君の横へと戻して。
先月の今日、
ソレは予期せぬ偶然としてカカシの元へ舞い降りた。
子ども達と作った、と言っていた。
凝りすぎてお酒を入れてしまったから、と。
自分がたまたま居合わせた、ただ、それだけの事。
そう言い聞かせて尚、それでもまるで一縷の望みに縋るかように思い返すのは……
『じゃあ俺まだ実は仕事残ってるんで失礼しますね?』
―――――――別れ際の彼の台詞。
仕事が残っていたのに、貴方はわざわざ出てきたの?
それは…
俺が居た、から…?
それって、もしかして……?
「あー!クソ…っ」
グルグルと回る思考はまるで出口の見えない迷路に迷い込んだかのように、カカシを翻弄する。
彼の真意を読み解くのは、特Sランク任務よりも難しいらしい。
完全に空回る思考に、カカシはもう何度目になるだろう、
考えることを放棄してベットの上でうつ伏せていた体を勢いよく起こして乱暴に頭を掻いた。
どちらかというと人の思考を読み取るのは得意だ、何気ない仕草やほんの僅かな物言いや言い回しの違い。忍びを生業としている以上、観察眼も人並み以上には培ってきたつもりだった。しかし、今回に限ってはソレが全く機能しない。
らしくない。
そんな事、声に出すまでもなく分かってる。
でも、
「気になっちゃうんだから…」
―――仕方ない。
名前をつけることが出来ずに居たその感情の名を、あの日理解した。
不覚にも彼の人によって齎されたソレによって。
そして自分の気持ちがハッキリしてしまえば、次に気になる事は―――――
「……」
カカシは小さく、意を決したかのように息を吐くと無言で立ち上がった。
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「イルカせんせ?」
「か…カカシ先生ッ!?」
ガタッと椅子が鳴る。
ここはアカデミーの職員室。
職員室入り口から、おずおずと覗き込むその姿にイルカは驚いた。
受け付けて顔を合わせることはしばしば、しかし、こうしてカカシがアカデミーの職員室を訪れる事はまず滅多に無い。
一瞬、予期せぬ邂逅に心が沸いた。しかし、その直後に霧散する。
カカシが何の用も無く自分に会いに来るはずが無い。
今日とてこれから受付の業務がある、仮に自分に対して何かしらの用があったとしてもその時でも充分のはずだ。カカシは今日も子ども達と任務に出ていた筈だし、報告書を提出しなければならないから受付には必ず顔を出す。それなのに、こうしてわざわざ職員室に足を運ぶというのは何かしらの急務なのかもしれない。
もしかして、子ども達に何か――――!
その考えに至った瞬間、サっと血の気が引いた。
「どうか、なさったんですか…?」
問いかける声に緊張が走る。
しかし、そんなイルカに対してカカシはと言えば……
相変わらずの猫背で後頭部をガリガリと掻きながら、ほんの少しだけ気まずそうに視線を逸らして、
「いえ…、大したことじゃないんですけど…。今晩って、お時間空いてます?」
と、呟いた。
「え?」
「ちょっとお話したい事があるので、出来ればお時間作って頂けると有難いんですけど…
もう、何か予定おありでした……?」
「え、―――あ、いや、それは大丈夫ですけど…」
「それは良かった」
「え?」
「今日も受付にいらっしゃるんですよね?」
「え、えぇ、これから向かいますが…」
「―――そうですか。受付が終わったらもう上がりですか?」
「そう、ですね。今日は…はい、そのまま上がれると思います」
「じゃあ、上がりの時間位にアカデミーの入り口で待ってます」
「え、あ・・・分かりました。あの、でも一体何―――」
「それはあとでお話します」
「ッ///」
約束を取り付けるのが目的だったのか、
そのまま立ち去ろうとするカカシが気のせいか少しはにかんでいたような気がして、イルカは一瞬言葉に詰まる。
自然と高鳴る心臓の鼓動に二の句を紡ぐことも叶わず、結局、イルカはそのままカカシの後姿を見送った――――
カカシ先生、俺に一体何の用なんだろう……///
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「お待たせしました…っ!」
トレードマークの尻尾を揺らしながら駆け寄る姿を視界の端で捕らえ、
カカシはゆっくりと本を閉じ、彼の方へと向き合った。
「お疲れ様、イルカ先生」
「カカシ先生も、お疲れ様でした」
ニコリと笑うその笑顔。
急いで来たのかもしれない、少しばかり上気して紅色に染まる頬はまだ僅かに残る寒さからかそれとも……?
「急にスミマセンでしたね」
「え…?あぁ、いえいえ、それより俺に何か?」
「んー…ちょっと、歩きませんか?」
「あ、はい」
「……」
「……」
特にコレと言って宛てがあるわけではない。
気の向くまま、道のまま、カカシは歩いた。その横を、イルカも特に何を言うでもなく付いてくる。
「イルカ先生、」
「はい?」
徐々に少なくなる人影。
日は傾き、既に夜の帳が下り始めていた。
気がつけば繁華街を抜け川べりへと出てきていた、気付かぬうちに結構な距離を歩いていたらしい。
らしくもなく緊張しているのか、距離感を失念していたようだ。にも拘らず、特に何を言うでもなく付いて来てくれたイルカの姿を確認して、カカシはふと足を止めた。
そしてゆっくりと向き合う。
「――――先月は、ありがとうございました」
「あの、カカシせんせ…?」
「チョコ、美味しかったです。お上手なんですね」
「え…?
―――あっ!いや…アレは……ッ///」
ポカンとしていた顔が、徐々に朱に染まる。決して夕日によるものではないソレ。
単なる自意識過剰かもしれない、
勘違いかもしれない、気のせいじゃないのか、
何度も何度も自問して、
何度も何度も自己否定を繰り返して、
でも、今、確信した。
「イルカ先生、」
「は…はいっ!」
「コレ、あげる」
「え…?あ…飴、ですか…?」
「うん、そ」
「あ、ありがとうございます…」
「イルカせんせ、わかります?」
「なんですか…?」
「今日、俺がアナタにその飴を渡す意味」
「え…っと、」
3月14日。
それは先月の今日、告げられた想いに応える日。
「俺、あなたのことが好きです。だから、他の誰からじゃないアナタからチョコが貰えたの凄く嬉しかった。
―――イルカ先生、アナタの気持ち教えてくれませんか?」
今回は遅刻しなかったんだZE☆
そしてVDに引き続き糖分カット仕様
長いくせに全然ラブ要素がない;;
何なの一体…イチャコラしろよ!
20120314