フレグランス





「イルカ先生〜」

「はい?」

自分より図体がデカイくせに何かというと過度なスキンシップを取りたがる銀髪の上忍に、イルカの対応もいい加減慣れたもので背後から圧し掛かる重さも気に止めない。
いや、むしろこの場合気に止めた方が負けなのだ。

「イルカせんせ〜vv」

「…だから、何ですか?」

正直、邪魔。
明日までに添削を終えなければならないテストがまだだいぶ残っている。

「カカ――」

「ねぇ、イルカ先生。何か気付きませんか…?」

「―――は?」

元々、その言動共々突飛過ぎて判らないこともしばしば。
イルカは僅かに眉を潜めて、しかし、小さく息をついてそのまま言った。

「…何がですか?」

気付くもなにも、別にこれと言って気になるような変化はないように思える。
カカシの意図がわからなかった。

「気が付かないんですか…?」
「――だから、何に」

少しだけ気落ちした声に、
背後に張り付いて子泣き爺化したカカシをあやすかのように、ようやくイルカが顔を上げる。

「……一体何なんですか、カカシさん」

「何か、香りませんか?」

「は?」

縋るように見るカカシに言われて、イルカはクン、と匂いを嗅いだ。

「ああ…」

確かに、言われてみれば少しだけ。
自分の家には似付かない甘い香りがする。これは自然な食べ物による甘さ、と言うよりは作られた、そう、例えば女性が身に纏っているような香水に近い。
それがどうしてかカカシから香る。

「確かに匂いますね。何か甘い感じがする…ケド、これがどうかしたんですか?」
「………」

「カカシさん…?」







「うわーーん!!イルカ先生のバカーーーーーーーーーー!!!!!!」

「―――えっ?あ、ちょっ!?」






いきなり煙のようにその姿を消したカカシに、腐っても上忍、咄嗟に対応できる筈もなく、バカ呼ばわりまでされてその場に取り残されたイルカは、さっきまでカカシのいた場所を見ながら「何なんだよ、一体…」と、呟いた。

しかし、



―――ま、これでしばらくは静かに仕事に集中できるかな。



どうせ時間がたてば、カカシの方が痺れを切らして戻ってくるのは経験上、目に見えて予測できるので、せめてそれまでは…と、再びイルカは添削に没頭していった。











ヤキモチ妬いて欲しかったらしいよ?

20050204 UP






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