万有引力





ふと気がつくと目があの人の姿を追っている…



その視線に気が付いたのはいつの頃からだっただろうか?
殺気でもなく、妬みでもなく、
不思議と心が温かくなるような、戸惑いを含んだ控えめなそれに…
名前は知らない、でも、気になる。
アンタは気付いているのかな?
俺がアンタを見てること…

いつの頃からだっただろう?
あの人を見つけると自然と視線がそちらへ向かうようになったのは。
自分とは明らかに違うその人と
懇意になりたい、とかそういう思いがあるわけじゃないけど
自然と目が追ってしまう。
どうしてか、気になって仕方ない。




それは、
ほんの偶然





火影に呼ばれて執務室に向かう途中、彼とすれ違った。
何でもない顔をして通り過ぎて、角を曲がるその瞬間、
相変わらず戸惑いを含むその視線に、思わず苦笑が漏れる。

……そんなあからさまでどうするの?
忍び失格だよ、それじゃあ……

「……どうした?」

時を同じくして呼ばれた同僚の訝しげな表情に、
俺は小さく肩を竦める。

「別に。何でもないよ?」
「…変なヤツだな。ニヤニヤすんなよ、気持ちワリィ…」

煙草を口の端に挟んで眉を潜める同僚を無視して、歩みを進めた。
だって、今の俺は機嫌がいい。



彼とすれ違った。
きっと執務室に用があるのだろう。
だって、奥の角を曲がればもう部屋はそれしかない。
何気なく彼の姿を追って振り返ると
やっぱり角を曲がっていた。

きっと、任務に違いない。
俺なんかが知る由もない、そんな……

「どうした?」

声を掛けられて、我に返る。
これから仕事だ。気持ちを切り替えなければ…

「いや、何でもないよ」

そう言えば、彼をこんな近くで見たのは初めてかもしれない。
気が付けばどこか嬉しい自分がいた。















それから暫くして、










「あのっ、初めまして!
俺、アカデミーでナルトの担任だった―――」

「ええ、ナルトから話は聞いてますよ。
『初めまして』イルカ先生」












彼らは出会う。











20040822 UP






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