ミルクティー





何をするでもない。
呆として、だだ流しのTVも目に映るだけで意味をなさない。

読みかけの本も、
何となく今日は指が動かなくて、
ただ、ひたすらボーっとしているだけ。

唯一、少しだけ気になるのはあの人の気配。
隣の台所で忙しなく動き回るその気配は煩わしいように思えて実際は全然そんなことがない。

寂しくない、と言えば嘘になるが
邪魔をするのもどうかと思う。



―――まぁ、何をしてるのかよく分かんないんだけど……



「……お疲れ様でした、カカシさん」
「イルカ、先生……?」

コトリ、と差し出されたマグカップには
とろりとした液体。甘い匂いが漂っていた。

「あの…?」
「ミルクティーですよ、たまにはいいでしょう」


基本的にイルカは日本茶派。
自分は別にそういったのにあまり拘りがないから気にしたことがない。
ただ、イルカの淹れてくれたお茶は美味しいから好きだった。
以前に自分で同じような方法で試しにお茶を淹れてみたことがあったが、どうやっても同じ味が出せなくて結局止めてしまった。


「……どうしたんですか?」
「疲れてる時には甘いものが一番イイんです。
でも、カカシさんはチョコレートとかお菓子ってあんまり好きじゃないでしょ」

―――だから、ミルクティーにしてみました。


一緒に飲みませんか?と、微笑むイルカに断る理由なんかなくて、
そっと口に運ぶ。
出来たてらしいソレは少しだけ熱くて、
でもほんのりとミルクの甘味が広がる感じがした。

不思議とあったかい気持ちになる。



「カカシさん…」
「はい?」

「俺は…貴方がどんな任務を受けようと口出しすることは出来ません。元より、するつもりもないんですが…」

「………」

「――でも、心がちょっと疲れちゃった時は我慢しないで下さい。
俺だって忍びです、貴方ほどじゃないけど…それなりに外での任務もこなしてるつもりです」

「…イルカ、先生…」

「何も言わなくてもいいです。でも、独りで我慢だけはしないで下さい。
心がクタ、ってなっちゃった時はね、誰でもいい、誰かに甘えちゃった方がいいんです。そうしてゆっくり休むのが一番です……」

ふわり、と抱きしめられて初めて気付く。
自分が疲れていたことに。

子どもを殺した。
理由があって。

昔なら何も感じなかったのに、今はこの人が色んな感情を教えてくれる…
くたびれるけど、色んな感情に振り回されてクタクタだけど、
でも、

どこか幸せであったかい。








「ありがとう、イルカ先生……」











私はミルクティーより
レモンティー派
(関係ない

20050104 UP






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