ベストフレンド

※長編SS「道ゆき」設定に基づいています



久し振りの休み。

別に望んで昇格したわけではないが、生まれ育った里を守りたいという思いは常にあったし、何より全身全霊を掛けて守りたいと思う相手が出来た今、自分はとても充実していると思える。

こんな因果な仕事を家業としている故に、常に付きまとうのは己の死。
そして残される家族。

いつ死んでもおかしくない、そんな修羅の刻に身を置いているからこそ出来ることなら多くの時間を家族と共に過ごしたいと思う。


「とーちゃ〜〜んっっ!!」


パンツ一枚で川に勢いよく川に飛び込んでいったイルカが両手を大きく振っている。
オルカは苦笑気味に手を振り返した。
一体誰に似たのか、コロコロと表情を変えてよく笑う息子の姿を眺めながらゴロリと川原で寝転がる。自然と視界を青空が占めた。
ゆっくりと流れる時間は嫌いじゃない。たまに掠めていく風と、聞こえる川の流れる音。魚がいる、という話をしたら捕ってくると息巻いた息子がたまにジャバジャバと川の流れを乱すその音さえも心地よい。


「……平和だなぁ〜、おい……」

「当たり前デショ、誰がこの里守ってると思ってんの…?」


青かった視界に突如として鮮やかな黄金色が差し込む。
独り言として呟いたつもりだったのだが、いつの間に傍にきていたのやら…
気配を消されていたとはいえここまで接近するまで気が付かないというのも問題だ。

オルカは少しだけ眉を潜めた。

「…四代目火影様がこんなところで何やってんだよ。仕事はどーした、仕事は?」
「うっわ、ヒッドイ言い方。今日はねー里の巡回なの、巡回」

そう言って横に腰掛ける男に、オルカも上体を上げた。
何が巡回か、どうせ仕事に飽きて逃げ出したに違いない。昔から出来る割にはデスクワークをしたがらない気質の男だ。よく一緒になってサボリを敢行したのは随分と昔の話だが、それが火影に就任して変わったとも思えない。

「よく言うぜ…」
「何だよ。こうやって里の様子を見て回るのも火影の大事な仕事なんだぞ?」
「へぇへぇ、言ってろよ」

「信じてないねぇ…」
「ったりめぇダロ、昔よく一緒になってバックれてたの何処のドイツだ?」
「アハハ…。――ところで今日はどうしたの?イルカくんとお散歩かい…?」
「ん…?ああ、今日は久し振りの非番でな。イサナが任務に出てるんで俺がイルカの相手してんの」
「相手、って…あのコ独りで遊んでるじゃない…」

「仕方ないだろ、俺が手ェだしたら怒るんだから。自力で川魚を捕るんだとさ」
「へぇ…」

それっきり会話は止まる。
2人で何をするでもなくただぼんやりとイルカが格闘する姿をずっと眺めていた。

平和。

まさにこの2文字が良く似合う。

どれだけの時間そうしていただろう。ふと、もう一つの小さな気配に気付いてオルカは目配せをした。相手の方も気付いてはいるらしく、肩を竦める。

その次の瞬間、

「あーーっ!!ハータケーッッ!!!!」

嬉しそうにブンブンと手を振るイルカ。
イルカの目の前に現れたのは鮮やかな銀髪が目を引く、イルカと大差ない子ども。見目に大差はないが実力は里が太鼓判を押す天才児―――はたけカカシだ。
いつのまにか、大人の預かり知らぬところで随分と親しい間柄になっていたらしい2人にはさすがのオルカも驚いた。しかし、イルカといる時のカカシの姿を見て、また、カカシといる時のイルカの姿を見て、別にいいんじゃないか、と思ってたりする。

階級など子どもにしてみれば何の壁でもない。

濡れた格好など気にも止めずに近寄るイルカとそれを気にしながらもどうすることも出来ず戸惑うカカシ。見ていて微笑ましい光景だ。

「平和だね」
「そうだな」

ポツリと漏れた呟きにオルカも同意する。

「すっかり、カカシってばイルカくんのペースに飲まれてるねぇ〜・・・」
「そりゃあんだけ無邪気にやられたんじゃ邪険にも扱えないだろーが」
「邪険にしたら君、カカシのことイジるでしょ?」
「そりゃそうだ。俺の大事なイルカを苛める奴は容赦しねぇよ?」
「親バカ…」
「うるせぇ、お前だっていつかそうなるっての」
「…まぁ、否定は出来ないかな…」

クスクスと笑うその表情は既に『父』特有のそれに近い。

「――でもねえ、俺は生まれてくる子どもは勿論だけど、カカシにもちゃーんと幸せになって欲しいわけ。何てったって自慢の教え子だからねぇ…」
「……そうだな、あいつらには幸せになってもらわないと俺たちが頑張ってる意味がない」

「俺の夢なんだよ〜?
俺の息子とー、イルカくんとカカシとじーさんになったオルカと俺と、イサナは……年をとっても美人そうだね。みんなでお酒飲んだりするんだ。イルカくんとさ、カカシの小さい頃の話とか酒の肴にしてさー」
「そりゃ、イイな・・・」

想像すると結構笑えた。

クツクツと咽喉鳴らしてオルカが笑うと、デショ、と悪戯っぽい笑みで返って来る。




「とーちゃ〜〜んっ!見てー!!魚取れた〜〜〜ッッ!!!
ハタケと一緒に捕ったーーーーッッ!!!!!」

「………///」




立派な川魚を携えてやってくるイルカとそれに付いてくるカカシ。
この2人は一体将来どんな忍びになるんだろうか。

自分たちを抜くような忍びになるだろうか?
その辺は分からない。でも、出来ることなら仲良くあれ、と思う。
満面な笑みを浮かべるイルカと照れながらもどこか嬉しそうなカカシ。決して似てるとは言えない2人だがどこか波長は合うようだ。

忍びの世界にいて長く友と生きていられる確率はそうそう高くない。

でも、出来ることならこの2人は……





「おぉ。よく頑張ったじゃないか、イルカ」
「へへー」

「お前もな、カカ坊」
「カカ坊って言うな!」

「お疲れカカシーv」
「――先生、仕事はどうしたんですか……?」

「うら、カカ坊にも言われてんじゃねぇか」
「あー、おじさんこんにちわー!」

「こんにちわ、イルカくん。君だけだよー、俺に優しくしてくれるのは〜…」








心から信頼し得る仲間になって欲しいと思う。











か、カカイル…?(疑問
父&四代目の遣り取りって結構
気に入ってるんですけど…駄目ですか?

20050104 UP






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