星の導き
―――ここ、は…?
意識を取り戻したイルカが最初に目にしたのは見覚えのない白い天井だった。
…助かったのだろうか。
鼻をつく薬品臭に、ここが病院であることを察する。
状況を把握しようと体を起こす、が、その瞬間―――
「―――ッ!」
鋭い痛みをイルカの体を襲い、ベットへと逆戻る。
危うく致命傷となりかねなかった腹の傷。縫合を施されたのか僅かに引き攣る感覚があるそこを見ると、真っ白な包帯が巻かれていた。
やはりこの場所が病院である事を確信する。
「―――イルカ先生、」
「え……?」
そこに見たのは、
望んで、望んで、望み止まなかった…
「カカシ、さん…?」
「良かった、気がついたんですね…」
「俺…」
艶やかな銀髪を少しだけ揺らしながら近付く影に、身体を起こそうとするが傷ついた身体はそう簡単には言うことを聞いてくれそうにない。再び走る痛みにイルカは顔を顰めるだけに留まった。
「ああ、無理しないで。イルカ先生、結構重傷だったんですよ…?」
「カカシさん、あなたが…?」
「ええ」
「そうですか、―――ありがとうございました」
上体が起こせないので身体をベットに横たえたまま、小さく会釈する。
しかし、そんなイルカの姿を見てカカシはちょっと困ったような、複雑な顔をして小さく苦笑した。
「別にお礼なんて…。むしろイルカ先生に迷惑かけちゃいました、俺」
「え…?」
「俺ね、火影様の命令無視して飛び出しちゃったんです。イルカ先生が囮になってるから救援に向かって欲しい、ってあなたと一緒に任務に行った奴等が火影様に進言した所に偶々居合わせちゃって、気がついたら身体が動いてました。…ま、結果的に俺が一番最初にあなたを見つけて連れ帰ったので、厳重注意と一つ任務を拝命するだけで他はお咎めナシ…って事にはなったんですけど」
「そんな…ッ、元々は俺がもっとしっかりしてれば…!処罰の代わりの任務なんて―――」
「ううん、イルカ先生は十分あなたのやるべき事を全うしましたよ。それに、任務って言っても大した…あ、いや、大した任務だけど、イルカ先生が思ってるような危険な任務じゃないです」
「……?」
普通、処罰を免除する代わりの任務と言えば、その忍びの資質にもよるがAランク以上のものが振り分けられる。
しかもカカシは上忍の中でもトップクラスと言えよう。Sランク、下手をすれば特Sランクかもしれない。
そんな危惧を抱えたイルカに反して、カカシは危険はないという。イルカはカカシの言い分が分からなくて眉を潜めた。
「俺が受けたのはね、任務で大変な負傷をしたアカデミーの先生の身の回りの世話役。火影様曰く、少しは人の世話を焼く甲斐性を見せろ、だって」
酷いですよね、俺なりに甲斐性あるつもりなのに、
と、苦笑するカカシをイルカは一瞬、驚いたような顔で見つめる。
それは、つまり――――
「退院するまでの間イルカ先生のお世話させて戴きますから、何でも言って下さいね」
ニコリ、と笑ったカカシに、イルカの方が言葉が詰まる。
「や…、え、でもっ!あなた、任務はどうするんですか!?」
「やだなぁ、イルカ先生のお世話が任務ですって」
「違っ、そうじゃなくてナルト達とか…!」
「あいつらとも勿論こなしますよ、任務の掛け持ちなんてザラなんで気にしないで下さい」
「でも…!」
尚、食い下がるイルカにカカシが言う。
「―――あのね、イルカ先生。星が教えてくれたんです」
「カカシさん…?」
「あの日、年に一度、恋人たちが逢瀬を交わす日、彼らがあなたの居場所を教えてくれたんです。星明りが綺麗で明るかったんです、イルカ先生の倒れてた場所。……でも正直に言うと、あなたを見つけたときもう駄目かと思ってました。顔色なんて土気色に近くて…呼んでも、返事して、くれないし…このまま、イルカ先生いなくなっちゃうんじゃないかって思ったら、背筋が寒くなって…。でも、諦めきれなくて―――
医療班に言われました、あともう少し発見が遅れてたら危なかった…って。俺ね、もうあんな思いはしたくないんです。俺も生まれてきてから随分色んな人の死を見届けてきたけど、あなただけは諦めきれなかった」
「………」
「ホントはね、今でも怖いんです。
こうやって俺はイルカ先生とちゃんと向き合って話をしてるのに、それでも怖いの。もし、あの時もう少し発見が遅れていたかと思うと。ダッサイよね、上忍なのに……」
「カカシさん…」
「もう、会えなくなっちゃうんじゃないかと思った…!本当に、本当に…怖かったんです…!」
「カカシさん、」
「―――だから、あなたが元気になるまで…傍にいさせて下さい…」
ベットの上、カカシがクシャリと握ったシーツの端を更に上から手で覆う。
身体を起こせない自分をこれほどもどかしいと思ったことはない。
「俺も…怖かったです。常に死と隣り合わせなのは分かってたのに、覚悟してるはずなのに、いざ本当に死にそうになった時…やっぱり、怖かったです」
「イルカ先生…」
「カカシさん、あなたに会えなくなるんだと思ったら、本当に怖かった…」
「あなたにこうして、もう一度会えてよかった…」
「うん…」
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要リハビリ…(凹
七夕関係ないやん!
一日で書き上げたのでもうメタクソ
会話文ばっかりでゴメンナサイ
20050807